わかりやすい文章を書くための意識とは?

巷にあふれる文章指南の本。わかりやすい、伝わるといったテーマの本が増えています。

それだけ時代がそれを求めているわけですが、こういったテクニックを使いこなすのは、ある程度文章を書くことに慣れてからのほうがいいかもしれません。

それには、「話す」と「書く」の違いを知っておきましょう。

こんにちは。ブランドジャーナリストの傍嶋恵子です。

「話し言葉」と「書き言葉」の違い

「言葉」というと、私たちは「話す」と関連付けて考えがちですが、文章も「言葉」です。

「言葉」を国語辞書で引くと、次の意味があります。

人が声に出して言ったり文字に書いて表したりする、意味のある表現。言うこと。「友人の―を信じる」

音声や文字によって人の感情・思想を伝える表現法。言語。「日本の―をローマ字で書く」

文の構成要素をなす部分。単語。また、語句。「―が豊富だ」「一々の―を吟味して話す」

goo辞書引用

で、同じ言葉でも、「話し言葉」と「書き言葉」では大きな違いがあることを知っておきましょう。

それは、相手と会話をするとき、「状況を共有しているかどうか」です。

人は、話すとき、たいていは目の前に人がいて、相手の状況を知ることができます。つまり、状況を共有できます。だから、言葉が足らなくても、後から補えばいいですし、相手が知らないことがあれば、その場で説明を加えていけばいいわけです。

一方、「書く」という行為は、どんな相手が読むのかわかりません。そして、相手と状況を共有できない状態です。2次元の「文字」だけで、相手に物事を伝えなければなりません。

だから、読み手に話を伝えるには、今、目の前に見えていることやこれから伝えようとしていることが、いつ、だれが見ても共通な認識になるようにきちんと書かなくてはなりません。

単に、話し言葉を書きだすことは、書き言葉とは言いません。文章が苦手な人の多くは、話し言葉と同様に書いていて、伝わらないと悩んでいることが多いのです。

けれども、この点を理解していないからにすぎないのです。

書き言葉は、状況を客観的にとらえて言葉を補う

つまり、伝えようとすることを、客観的にとらえて丁寧に言葉を補っていくことが大切なのです。

【話し言葉の例】

次の二人の会話は、僕と友人が彼女と待ち合わせていて、彼女が待ち合わせ場所を間違えていたときのものです。

僕「遅いな。あれ?あれ彼女じゃない?」

友人「いたいた。行こう」

これで通じますね。

一方、書き言葉にすると、これでは意味が通じません。次のように言葉を補わなければ伝わりません。

【書き言葉】

時間がたっても彼女は現れなかった。

「遅いな」と僕はつぶやいた。が、ふと前方に目をやると彼女らしき姿を見つけた。こちらへくる気配はない。

「あれ彼女じゃないか?」と僕は友人に聞いた。

「いたいた。きっと場所を間違えてるね。行こう。」

僕たちは彼女のところへ駆け寄った。すると、やはり彼女は待ち合わせ場所を勘違いしていた。

この違いわかりますか?

書き言葉では、話し言葉を書いたところで、細かい状況がわからないのです。おおよそ想像はできたとしても、誰もが同じことを想像できるかはわかりません。

しかし、書き言葉で丁寧に言葉を補い、その状況を客観的に描写することで、誰が読んでも同様な理解が得られるようになります。

これは、どんな文章でも同じで、「誰が読んでも誤解のないように共通の認識を与える」ことを意識していく必要があるのです。

わかりやすく伝わる文章を書くということは、このように、相手の立場を考え、客観的な視点で、言葉を補い丁寧に書いていくことです。

だから、自然と文章は長くなるはずです。長くなり、ちょっとくどいかな?と思っても、読む人にとってはそれほどではありません。文章は長くても、言葉が補われていて、1文1文がわかりやすければ、最後まで読んでくれるはずです。

テクニックの前に丁寧に書こう

文章を書くにはいろいろなテクニックがありますが、テクニックの前に、「読者と共通の状況を作り出すために丁寧に書く」ことをまず意識していきましょう。